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経験は、強い。企業が経験をシェア拡大に活かす方法【経験曲線効果】【PPMモデル】

経験は強いです。

実際、あなたの周りには、やったことのないのに口だけは達者な人がいるのではないでしょうか。

事業でもやはり経験は強いですね。そして、その経験を活かしていくためにも最大のマーケットシェアを獲得することが重要です。

経験曲線効果

ところで、そういったことと関連して、経験曲線効果ということを知っているでしょうか。

経験曲線効果とは、一般に個人や組織が特定の課題の経験を蓄積していくと、より効率的にその課題をこなせるようになることです。

事業でいえば、企業内の経験が蓄積されることで、製造、管理、販売、マーケティングなどのトータルコストが一定の予測できる率で低下するという収穫逓増(※インプットすればアウトプットが高まる傾向が生じる状態)による経験則です。

また、コストの逓減率は、製品の累積生産量が倍加するごとに通常10〜30%下がりますが、これを経験曲線といいます。

これらの経験曲線効果は、いろいろなサービスや製品に適用できます。

経験曲線効果は、次のような要因でもたらされる相乗効果です。

  • 作業者の習熟
  • 作業方法の改善
  • 作業の標準化

作業者は、特定作業を反復することにより、作業を習熟し、より効率的な方法を見つけ出します。経験を蓄積することにより、作業遂行上の安価な資源ミックスの配分を考え、作業方法改善での効率化、生産設備の能力向上などが可能になっていきます。そして、製品の性能向上に関する知識も得られ、材料の節約や製造効率の向上などが可能になります。

どう活かす?

こういった経験曲線効果を企業が活かすには、競合企業に対し最大のマーケットシェアを獲得することが重要になります。

この経験曲線効果を通じて、プロダクトポートフォリオマネジメントという経営戦略を策定するアプローチが考案されました。それをPPMモデルといいます。

PPMモデル

企業が取り組んでいる各事業によりライフサイクルの段階、業界の魅力度、相対的市場シェアによってキャッシュを生み出す力は、異なります。そのため、キャッシュフローを最大化させる事業をいかに組み合わせるかが重要な戦略課題となりますが、その戦略課題を分析するものとしてPPMモデルがあります。Product Portfolio ManagementからPPMモデルといわれています。

ライフサイクルについては、こちらの記事も参考になると思います。

事業や製品に関する資金流出入は、

  • 市場の成長率
  • 相対的市場シェア

の組み合わせで決まります。

PPMモデルでは、戦略事業単位(SBU:Strategic Business Unit)として定義されており、単一の事業で独立した競争相手がいること、そして責任ある経営管理者がいて、他の事業と独立して計画できることが要件となっています。

PPMモデル

PPMのステップは、最初に各事業をPPMモデルの象限に位置づけます。次に各事業を収益性、成長性、キャッシュフローの観点から評価して資源を配分します。

  1. PPMモデルの象限に位置づける
  2. 評価して資源を配分

4つの象限を見ていきましょう。

PPMモデル4つの象限
  • 花形 ※市場成長率と相対的市場シェアがともに高い
  • 金のなる木 ※市場成長率が低い反面、相対的市場シェアが高い
  • 問題児 ※市場成長率が高い反面、相対的市場シェアが低い
  • 負け犬 ※市場成長率、相対的市場シェアがともに低い

PPMは、金のなる木を資金源として、花形や将来有望な問題児に資金を集中させます。一方で負け犬や有望でない問題児を切り捨てる選択を行い、限られた資金の選択的投資を行なっていきます。

企業が継続的に成長するために経営資源を最適に分配するには、金のなる木から資金を有望な問題児に透過し、その問題児を花形に移行させます。また、花形は市場シェアを維持するために絶えず利益を自己還流させて市場の成熟に備え、成熟段階にある花形も金のなる木へ移行させていく必要があります。このような好循環の仕組みを整えていけば、企業は、資金の最適配分を達成しながら長期的な成長を測ることが可能になってきます。

PPMモデルの問題点

PPMモデルには、問題点もあります。たとえば、成長予測が容易でないこととシナジー効果への配慮が不足しています。また現在行なっている事業の位置づけには役立ちますが、未来志向が不足していることがあります。

しかしながら、やはり現状を知るのは、大切だと思います。

経験曲線効果を通じて経営戦略を策定するするためのポートフォリオアプローチがPPMモデルを活用していきましょう。

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