小規模企業経営者が知っておきたい労働基準法【起業】【就業規則】【労働契約・賃金・労働時間】

会社を経営するといろいろなことを行わなければなりません。ただ、利益を上げれば良いものではないのです。人を雇うことになれば労働基準法のことも知っておく必要があります。予算があれば必要なスタッフを雇ったり、社会保険労務士に相談したりとできますが、起業当初や資金に余裕がない場合、経営者自身が手続きを行うこともあるでしょう。

予算が無いから専門家に依頼できないのは仕方ないでしょう。それならば自分で最低限の知っておく必要はありますね。

実際の利益につながらないことなのでどうしても手を抜きがちですが、知らないでは済まないこともありますのでぜひこの機会に最低限知っておくことをおすすめします。会社としてのコンプライアンスとしても必要ですね。

労働基準法

労働基準法では、労働者は、事業または事業所に使用される者で、賃金を支払われる者のことです。使用者は、事業主、経営担当者、事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為する者です。

労働者と使用者
  • 労働者:事業または事業所に使用される者で、賃金を支払われる者
  • 使用者:事業主のために行為する者

また労働基準法でいう賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対象として使用者が労働者に支払うすべてのもののことになります。

基本原則

労働基準法の基本原則に、労働条件の原則、労働条件の決定、均等待遇、男女同一賃金の原則、強制労働の禁止、中間搾取の排除、公民権行使の保障があります。

特に基本原則として、次のことを経営者は知っておきたいですね。

  • 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取り扱いすることはできません。
  • 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、または公の職を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒むことはできません。
  • 使用者は、暴行・脅迫・監禁その他精神または身体の事由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を矯正することはできません。
  • 使用者は労働者の国籍、信条または社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他
  • の労働条件について、差別的取扱いをすることはできません。
  • 労働条件は、労働者と使用者が対等の立場において決定すべきもので、労働者および使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければなりません。

平均賃金の算出方法も知っておくと良いです。特に従業員を雇うようになると必要になってきます。

  • 平均賃金は、過去3ヵ月間の賃金総額を過去3ヵ月間の総日数で除して算出できます。
  • 通勤手当や家族手当は平均賃金の算定基礎に含まれますが、3ヵ月を超える機関ごとに支払われる賃金は含まれません。

平均賃金=過去3ヵ月間の賃金総額÷過去3ヵ月間の総日数

労働契約

労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、無効となった部分は労働基準法で定める基準によります。

労働契約には、期間を定めないものと期間を定めるものがあります。期間を定める場合、有期労働契約となりますが、有期労働契約期間には、上限があります。通常は、上限3年ですが、専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約、もしくは、満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約の場合、5年契約が可能です。

労働契約締結時に、賠償予定の禁止、前借金相殺の禁止、強制貯金の禁止といった禁止事項がありますのでこのあたりも注意しておきたいですね。

  • 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償を予定する契約をすることはできません。
  • 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺できません。
  • 使用者は、労働契約に付随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をすることはできません。

会社を経営していれば、従業員を解雇しなければいけないことも出てくるでしょう。従業員を解雇する際は、解雇予告期間として30日以上前に予告しなければなりません。一定日数分の解雇予告手当(平均賃金相当額)を支払えばその日数分だけ短縮可能です。予告しなかった場合は、30日分以上支払わなければなりません。

ただし、業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間や産前産後の休業期間は、解雇制限期間となります。そして、休業後の30日間解雇はできません。

ほかに解雇予告期間予告除外されるものもありますので参考までに記載します。原則、日々雇い入れられる者や2月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4月以内の期間を定めて使用される者、試みの使用期間中の者は、解雇予告を必要としません。

ただし、例外がありまして、この場合、解雇予告が必要になります。

  • 日々雇い入れられる者が1月を超えて引き続き使用されるに至った場合
  • 2月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4月以内の期間を定めて使用される者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合
  • 試みの使用期間中の者が14日を超えて引き続き使用されるに至った場合

賃金

賃金にも時間外労働や休日労働といった知っておくことがあります。

賃金は、原則として通貨で支払わなければいけないことになっています。労働協約に別段の定めがある場合は現物で支払うこともできます。労働者の同意で銀行振込は可能です。

賃金の毎月1回以上払いおよび一定期日の払いの原則に対して、臨時に支払われる賃金、賞与、1ヶ月を超える期間で算定される手当等は例外とされています。そして賃金は原則全額払いですが、賃金の一部控除に関する労使協定は、所轄労働基準監督署長に届け出る必要はありません。

使用者が労働者に時間外労働、休日労働、深夜労働させた場合は、その時間又はその日の労働については、割増賃金を支払わなければいけません。法定時間外労働に対する割増賃金は、2割5分以上の率で算定し、法定休日労働に対する割増賃金は、3割5分以上の率で算定しなければいけません。法定時間外労働と深夜労働が重複した場合の割増賃金は、5割以上の率で算定しなければいけません。また、法定時間外労働が1ヵ月60時間を超える時間分の割増賃金は、5割以上の率で算定しなければいけません。

※1ヶ月の賃金支払額に生じた1,000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことは、事務簡便化を図る趣旨から全額払い違反には該当しません。

使用者の責にきすべき事由による休業となった場合、使用者は、休業期間中、労働者に平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければいけません。

労働時間

労働時間にも原則があり、使用者は、休憩時間を除き1周間について40時間を超えて労働させてはいけません。また、1週間の各日については、労働者に休憩時間を除き1日について8時間を超えて労働時間をさせてはいけません。常時10人未満の商業、保健衛生業、接客娯楽業などといった特例対象事業は、1週44時間、1日8時間です。

労働時間には、変形労働時間制などがあります。1ヵ月単位や1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制、フレックスタイム制があります。

  • 1ヵ月単位の変形労働時間制は、変形期間(1ヵ月以内)を平均し、1週40時間を超えない定めをしたときは、特定の週に40時間を声、特定の日に8時間を超えて労働させることができますが、労使協定の締結及び届出、または、就業規則等に定めが必要になります。
  • 1年単位の変形労働時間制は、1日10時間、1週52時間という労働時間の上限が定められています。
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制は、日毎の業務の繁閑を予測することが困難な小売業、旅館、料理店、飲食店等の事業に認められる制度で1日の労働時間の上限は10時間とされています。

他に、みなし労働時間制といったものもあります。みなし労働時間制には、事業場外労働や専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制があります。

このあたりの変形労働時間制やみなし労働時間制は、起業当初からあれこれやろうとすると大変なので経営状況を見て変更していっても良いかもしれないです。

使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日(午前0時からの24時間)を与えなければいけないことになっています。4週を通じて4日以上の休日を与えることも可能です。

労働時間中の休憩時間についてですが、労働時間が6時間を超える場合は、少なくとも45分、8時間を超える場合においては、60分の休憩時間を労働時間の途中で与えなければいけません。その休憩ですが、原則として事業場の労働者全員に対して一斉に付与し、また自由に利用させなければいけないことになっています。

年次有給休暇、年少者、妊産婦など

年次有給休暇を与えるかどうかの判断基準ですが、使用者は、雇入れ日から起算して6ヵ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければいけません。使用者は、労働者の請求する時期に有給休暇を与えなければいけませんが、それによって与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時期にこれを与えることができます。労働組合等の書面による協定により有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、年次有給休暇のうち5日を超える部分についてはその定めにより有給休暇を与えることができます。半日単位や労使協定により時間単位の付与方法もあります。労働者は、時季指定権、使用者には、事業の正常な運営が妨げる場合に取得時期を変更できる時季変更権があります。

年少者や妊産婦の方を雇うということもあるかもしれません。原則満15歳に達した以降の最初の3月31日が終了するまでの児童は使用不可です。例外として、所轄労働基準監督署長の許可を受けて満13歳以上で就学時間外の児童や満13歳未満でも可能な映画の制作・演劇の事業などがあります。年少者を午後10時から午前5時の間は使用できません。児童の場合、午後8時から午前5時(演劇事業の場合、午後9時から午前6時)までの間は使用できません。

妊産婦は、産前休業として6週間以内に出産予定の女性が休業を刺青した場合、就業不可です。産後休業として産後8週間未経過の女性は就業不可ですが、産後6週間経過した女性が請求した場合で意思が支障がないと認めた業務につかせることは可能です。原則、使用者は、妊産婦が請求した場合、時間外労働・休日労働・深夜業をさせることはできません。

就業規則等

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、所定の事項について、就業規則を作成し、これを遅滞なく所轄労働基準監督署長に届出なければならない事になっています。

記載事項には、絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項があります。絶対的必要記載事項は、次の内容です。

絶対的必要記載事項
  • 始業・終業時刻、休憩時間・休日・休憩・就業時点間に関する事項
  • 賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算および支払い方法、賃金の締切および支払い時期ならびに昇給に関する事項
  • 退職に関する事項(解雇の事由含む)

相対的必要記載事項は、その定めがある場合には、就業規則に記載しなければならない事項のことです。

就業規則の作成や変更について、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、そのような労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。

まとめ

労働基準法は、すぐに利益につながるところではないのでなかなか一般の経営者はおろそかにしがちですが、長く会社を経営していく上で、やはり大事なことなので最低限の知識は知っておきたいところですね。顧問の社会保険労務士がいるとしても知っておくことによりコミュニケーションが可能になります。なんのことを言っているかわからないのにとりあえず任せているというのではちょっとまずいですよね。知ることにより社労士の必要性がわかるかもしれませんね。

現状の労働環境を改善する際にも役立つかと思います。

従業員のためでもあり、経営者自身のためでもあると思いますのでぜひこのあたりのことは、又時間があればご自身で調べてみても良いかと思います。

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