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スタッフが良い環境で働けるために労働基準を知ろう【ブラック企業】

労働基準法は、適切な労務管理を行うための労働条件について様々なルールを定めています。たとえば、一日の働く時間や休憩時間、休日、賃金などです。

労働基準法は、労働者を救うための法律ですが、経営者としての立場から見ると、会社側は、労働基準法を守ることにより、優秀な人材確保、生産性向上などにもつながってきます。

労働基準法

労働基準法は、効力を確実にするため、労働基準法違反になれば、罰金や懲役刑などにもなります。

労働基準法の基本的な理念として、労働条件は、労働者が人たる値にする生活を営むための必要を満たすものでなければならないとした労働条件の保証です。また、労働基準法で定められた労働条件の基準は、最低基準なので、会社は、この基準を理由に労働条件を低下させず向上を図るように努めなければなりません。

ちなみに労働基準法は、原則すべての事業に適用されますが、同居親族のみを使用する場合やお手伝いさんには、適用されません。

労働者は、職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で賃金を支払われる者のことです。使用者は、事業主、事業の経営担当者、その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をするすべての者のいずれかです。

労働契約

労働契約は、労働者が労働し、それに対して使用者が賃金を支払う契約のことです。契約は、自由に決めることが前提ですが、労働者が不利にならないように労働契約について規定が設けられています。

労働基準法では、基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とするとしています。

労働契約の期間は、期間の定めがあるものと定めないものがあります。期間の定めのないものが一般的には、正社員と呼ばれている人で期間の定めのあるものは契約社員やアルバイトなどと呼ばれる人のことです。

契約期間を定める場合は、原則1回の契約期間の長さは、3年が限度になります。契約の更新は可能です。博士の学位を有する者や公認会計士、医師、弁護士などの高度の専門的知識を有する労働者がその知識が必要である業務に就く場合は、1回の契約期間の長さの上限を5年としています。満60歳以上の労働者との契約も上限は、5年です。

労働者を雇う際は、労働条件を明示する必要があります。この明示事項には、絶対的明示事項と相対的明示事項があります。

絶対的明示事項は、労働契約の期間に関する事項、期間の定めのある労働契約の場合には、更新する場合の基準に関する事項、就業場所、従事すべき業務に関する事項、始業、終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、賃金の決定、計算および支払い方法、賃金の締め切り、支払時期、昇給に関する事項、退職に関する事項があります。この昇給に関する事項以外は、書面で明示しなければいけません。

この労働条件の明示は、労働契約を結ぶ際に明示します。明示された労働条件が実際と違う場合は、労働者は、即時に労働契約を解除することができます 。

解雇

解雇は、使用者から一方的に労働契約を解除することですが、労働基準法では、労働者の保護を図っています。

解雇制限として、労働者が仕事によるケガや病気などの療養で会社を休む期間と治って出勤してから30日間、女性の産前産後休業とその後出勤してからの30日間は、解雇してはならないとされています。

ただし、解雇制限中でも解雇することができる場合があります。けがや病気で療養を開始して3年たっても治らない場合、平均賃金の1200日分を打切保障として支払うことにより、療養中でも解雇することができます。※平均賃金とは、直近3か月の賃金総額を3か月の歴日数で割って計算します。その他、地震などの天災によって事業が継続できない場合や経営の継続が不可能となり廃業するような場合、療養中や産前産後休業期間中でも労働基準監督署長の認定を受ければ解雇することができます。

解雇する場合のルールとして、少なくとも30日前に解雇の予告をしなければなりません。即日解雇したい場合は、30日分以上の平均賃金の解雇子予告手当を支払うことにより即日解雇できます。

天災や労働者の責めに基づいて解雇する場合は、解雇予告せず、解雇予告手当を支払わなくても労働者を解雇することができますが、労働基準監督署長の認定を受ける必要があります。

臨時的に短期間働く労働者の場合は、解雇予告の規定はありませんが、一定期間を超えて引き続き使用した場合は、解雇の予告が必要になります。

賃金

賃金については、労働者としては、特に興味のある内容だと思います。

男女同一の賃金の原則で女性であることを理由で賃金について男性と差別的な取り扱いをしてはいけません。

また、賃金支払い5原則で通貨で支払う、直接労働者に支払う、全額を支払う、毎月一回支払う、一定の期日に支払うということが規定されています。通貨で支払うに関しては、労働者の同意を得れば口座振込でも可能です。その他、一部例外がありますが、賃金の支払い方法は、この規定を守らなければいけません。

労働者がどうしても急な出費が必要で、非常時払いとして、出産、疾病、災害、結婚、死亡、やむを得ない事情で1週間以上帰省する場合は、今まで働いた分の賃金を請求することができます。

経営難など一時的に労働者を自宅待機などにする場合、労働者の生活を保障するため、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければいけません。ただし、天災などの不可抗力など一部に関しては休業手当は支払う必要はありません。

労働時間

働きすぎで心身ともに大きな負担を負ってしまうのでは、何のために働いているのかわからなくなってしまいますね。法定労働時間が決まっており、1日の労働時間は、休憩時間を除いて原則8時間以内としています。1週間の場合、原則40時間以内です。会社が定める労働時間を所定労働時間といいます。

働き方にも、変形労働時間制、みなし労働時間制などがあります。

変形労働時間制には、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制、フレックスタイム制、みなし労働時間制には、事業場外労働に関するみなし労働時間制、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制があります。

会社の業務スタイルに合った労働時間制があります。

休憩、休日

心身の疲労の回復、労働災害の防止の観点から休憩、休日の与え方なども規定されています。

休憩時間は、労働者の実労働時間に応じて、労働時間が6時間以内の場合、与えなくてもよいです。労働時間が6時間を超えて8時間以内の場合は、45分以上、労働時間が8時間を超える場合、1時間以内となっています。このように労働時間に応じて休憩時間が決まっています。

また、休憩は、労働時間の途中で原則一斉に与えなければいけないことになっています。また、休憩時間は労働者に自由に利用させる必要があります。

休日は、原則毎週少なくとも1回で、例外として4週間を通じて4日以上の休日を与えることを認めています。

時間外労働

時間外労働や休日労働についても併せてみておきましょう。

労働基準法では、1日及び1週間の法定労働時間と原則週1回の休日の確保を規定していますが、非常災害や経営上の理由によりどうしても時間外、休日労働が必要になる事態が出てきます。非常災害の場合は、労働基準監督署長の許可を受けて、時間外労働、休日労働を行わせることができます。状況により事後に遅滞なく届け出ても構いません。経営上の都合での時間外労働、休日労働は、労使協定を結び、労働基準監督署長に届ければ例外的に時間外労働、休日労働が認められています。この規定は、労働基準法36条に規定されていることから36協定といいます。ただし、36協定を結べば何時間でも働かせることができるとなってしまうと大変なので、労働時間の延長できる上限が1か月の時間外労働の限度は、45時間、1年間の時間外労働の限度が360時間と定められています。

また、時間外労働、休日労働した場合、割増賃金を労働者に支払わなければいけません。時間外労働は、原則2割5分以上、休日労働は、3割5分以上、深夜労働は、2割5分以上といったように、通常月給制の場合は、時給換算した賃金額に割増率をかけて計算した額になります。

有給休暇

休暇といえば、有給休暇という言葉を聞いたことがあるでしょう。連休を取って旅行などに行くときには、使われる方もいるかもしれません。年次有給休暇は、6か月勤務し、出勤率が8割以上である労働者に対して与えられます。

勤続年数0.5年の場合、10日。1.5年の場合、11日。2.5年の場合、12日。3.5年の場合14日。4.5年の場合、16日。5.5年の場合、18日。6.5年以上の場合20日となります。突然、本日有給休暇にしてくださいと言ってとるものではないです。

まとめ

会社経営者として労働者を雇うための規定はいろいろあります。そのなかでも労働基準法がありますが、基本的には、使用者側が有利になることが多いため、労働者を守るためのものになります。

使用者と労働者では立場も違い、考え方も異なります。そのため、使用者側も労働者側もある一定の理解が必要になります。どうしても自分の立場を中心に労働基準法を見がちです。やはり、こういった基準をもとにお互いが信頼関係をもってこういくことが大切なのでしょう。

こういった基準があってもなかなかうまくいかないことがあります。例えば、労働者で、用事があるから早く出社して早く帰宅しようと勝手に時間を変更してしまうものもいたりします。体調が悪いから有給休暇を取らせてほしいとか当日に言われてもそれは有給とは言えません。会社側としては、有給休暇を消費してもらうために祝日などに有給を出しているという体制にすることもありますが、しっかりとその場合は、労働者と協議する必要があります。立場が違うといろいろとトラブルの原因になりますので、知らないではなく、しっかりとお互いに基本的なことは知っておく必要がありますね。

その他、事業に応じて、18歳未満を働かせる場合の制限や女性を保護する観点の規定などもあるのでそのあたりの環境もしっかりと整える必要があります。

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