企業経営者は、企業の成長を望むのが当たり前でしょう。そして成長戦略といった施策をとっていくことになると思います。
成長戦略とは、ウィキペディアでは次のようになっています。
成長戦略とは経営学用語の一つ。大企業、外資系企業などといった組織が成長することを目標として経営していく場合、そのためにはどのような事柄をするべきかを明確にするということ。 日本では組織に留まらず、国家そのものを成長させるということを目指す場合にもこの言葉が用いられている。
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企業経営の成長戦略についてもう少し詳しく見てみましょう。
成長戦略
成長のマネジメントとして、アンゾフの製品・市場マトリクスがあります。企業は、設定した事業領域の範囲内で事業を拡大し、成長を目指して製品の種類を増やしたり、市場拡大を目指します。製品と市場を既存分野と新規分野に区別し、市場浸透、新市場開拓、新製品開発、多角化によって企業は成長します。
既存製品 | 新規製品 | |
既存市場 | 市場浸透戦略 | 新製品開発戦略 |
新規市場 | 新市場開拓戦略 | 多角化戦略 |
各区分の戦略は、このような戦略になります。
- 市場浸透戦略 ※既存の製品・市場分野で売上を伸ばし、市場占有率を高める
- 新製品開発戦略 ※既存の市場に新製品を提供し成長の機会を見出す
- 新市場開拓戦略 ※既存の製品で新たな市場開拓し成長の機会を見出す
- 多角化戦略 ※新しい分野の製品、市場に進出し成長の機会を求める
シナジー効果についても見ていきましょう。
関連性の高い事業への多角化の際に高い収益を生むなど既存事業と新事業との間にシナジー効果があるとされています。シナジー効果とは、相乗効果のことで、企業を構成するSBU(戦略事業単位)のまとまりの良さを評価するためにアンゾフが提唱した概念です。
シナジー効果には、次のようなものがあります。
シナジー効果で経営資源の共有と相互補完性がもたらされます。経営資源の共有は、共通の流通システムや研究開発活動などを複数のSBUが共有すること、相互の補完性は、マーケティング、製造部門のそうぞ補完というように相互機能を補い合うことを意味します。
シナジー効果を効果的に利用するには、既存事業と新事業との関連性、非関連性をしっかりと把握し評価する必要があります。
うまくシナジー効果を利用できれば、共有や相互補完の結果、1+1=3のような効果を得られることになります。
多角化
多角化をなぜ企業は行うのでしょうか。企業がリスクを覚悟して多角化に取り組む理由は、これらが多いです。
- 主力製品の需要停滞の打破
- 範囲の経済の追求 ※
- 収益の安定化
- リスクの分散
※範囲の経済とは、企業は、同時に複数の事業を展開すると、経営資源を共有でき、事業を別々に展開するよりもコスト削減できる効果のことです。
多角化は、関連型多角化と非関連型多角化があります。
関連型多角化は、企業がこれまで蓄積してきた技術、流通チャネル、管理ノウハウなどから多角化を行うもので、さまざまな経営資源を共有し有効に活用することができます。
非関連型多角化は、一般性の高い経営管理スキルと資金以外の関連性が少ない多角化で、経営資源の共有は限られます。
多角化を図る際に、次のことに留意する必要があります。
- 事業領域を明確にする
- シナジーを活用する
- 風土改革と経営資源の再点検する
企業結合
成長戦略では、企業結合の形態を取ることがあります。企業結合の形態には、
- M&A
- 戦略的提携
- 持株会社
などがあります。企業結合については、中小企業というより、それなりの企業向けなので今回は、詳細は省きますが、ご興味のある方は、もう少し調べてみると面白いかもしれません。
まとめ
成長戦略では、アンゾフの製品と市場を既存分野と新規分野に区別し、市場浸透、新市場開拓、新製品開発、多角化の4つの成長戦略を示した製品・市場マトリクスを活用します。販売、生産、投資、経営管理シナジーといったシナジー効果を活用します。
多角化戦略は、リスクも伴うので自社の事業領域を明確にし、シナジーを活用します。また風土改革、経営資源の再配分を行っていきます。
成長戦略の製品・市場マトリクスの活用、そして、シナジー効果を利用することは、成長に不可欠です。大企業の施策と思われますが、中小企業も成長するためにぜひ抑えておきたいところです。